きょうは会社を休み、家関係の雑事を片づけることにした。いま動けるのは実質ぼくひとりなので、しばらくは仕事を休むことが増えそうだ。まあ、開発の進捗状況はかなり進んでいるので、とりあえず問題はない。
せっかく休みを取ったので、用件よりも少し早めに家を出て、相棒に会っていくことにした。彼女は今日はゼミの日だから、その前に落ち合って、大学近くの公園で一緒にお昼を食べることにした。コンビニに寄ると、店長の住居も兼ねている建物なのか、脇で犬が飼われている。けっこう年な感じのする穏やかそうな白の雑種。ぼくは何しろ犬が好きなので、ふんふん鼻を鳴らしながらにじり寄ってみた。犬は何だろうという顔をして、すぐにまた寝てしまう。日差しも暖かいし、風もない。昼寝にはちょうど良い時間だろう。しばらく「かまってかまって」オーラを放出してみたけれど、犬は相変わらず眠ったままなので諦めた。
いくつか食べ物を買い、相棒とふたりで公園へ。ベンチに座って、のんびりご飯を食べた。すると小さな鳥が凄い勢いで近づいてくる。尾っぽが長くて、白いラインが入っている。ちょっと種類は分からない。相棒が小さくパンをちぎって投げる。一瞬驚いて飛び退くが、すぐに舞い戻ってパンを啄む。そして何を考えているのか、再び凄い勢いで走り回る。やあこれはかわいい、などと思ってぼくもパンを投げたら、どこからともなく鳩が集まりだした。飛んでくるならともかく、集団の鳩がこっちに向かって走り寄ってくるのは、正直ちょっと怖い。
彼女とふたりで、しばらくの間、いかに鳩に奪われないように、あの小さな鳥にパンをやるかに挑戦した。途中からヒヨドリが来て、こいつがいちばんはしっこい。パンを投げた瞬間、枝から一直線に降下してくわえていってしまう。でも、名前も分からない小さな鳥も鳩もヒヨドリも、ぼくはみんな好きだ。みんな一生懸命で、したたかで、かわいい。
一昨日は本社に寄り、その帰りに相棒と落ち合って夕食を食べた。食べ終えてから、仕事を終えたサラリーマンで混雑する、駅へと向かう道を歩きながら、どちらからともなく、相手にしか聴こえないくらいの小さな音で、口笛を吹き始めた。周りは人ごみだけれど、ぼくらだけが切り離されているような、それは寂しいけれど穏やかで、幸福な時間。雪ん子みたいに着膨れた彼女と寄り添って歩きながら、たぶん生きる意味というのはこんなことで十分すぎるんだろうなと、ふと思った。
そんな感じで、少しずつ日常を取り戻しています。