[アーカイブ]新世紀宮沢賢治(2009/07/29)

ぼくは以前、はてなブログで書いていました。はてなをやめて、ここで書くようになって、そのとき、あまりに投稿が多くてすべては引っ越しませんでした。でもひさしぶりに非公開設定にしてあるはてなブログを眺めてみたら、個人的にはですが、けっこう懐かしくて笑える投稿があるのです。そこで、いまは次の論文に向けてなかなかブログを更新できないでいますし、せっかくなので昔の投稿をこっちに持ってこようと思います。[アーカイブ]カテゴリーでまとめていきますので、良かったらお読みいただければ幸いです。基本、ばかばかしいお話が多いです。というわけで、第一回目は「新世紀宮沢賢治」。そうそう、ぼくは何しろ記憶力がないので、毎回毎回、投稿の間隔が空くたびに自分の文体を忘れていたんですよね。

こんばんは。誰も待っていなかったでしょうけれど、二週間ぶりの雑記です。いや誰も待っていなかったとしてもこのぼくが待っていたのです。雑記! おお何という甘美な響き! 何を書いても誤魔化せ……もとい、許されるというこの究極の自由! などと言いつつ、いつものことですがこのブログの文体を忘れてしまいました。いつもぼく、どんな感じで書いているんでしょうか。良く分かりません。分りませんがまあこのまま書いてみましょう。

昨晩連絡がありまして、論文が通りました。ゎぁぃ。と、少し喜びました。論文は良いですね。反論があってもそれは言葉で来るから、こちらもじっくり言葉で応答することができる。学会発表とかはダメです。相手が何を言っているのか良く分からないけれど、本気で訊き直しているうちに時間が終わってしまう。いや本当に何を言っているのか分らない。そして向こうもぼくが何を言っているのか分らないのでしょう。と思って、前回の学会発表では録音を取りました。セルフ録音。セルフつける意味あるのかな。でも自分の声を聴くのって嫌ですね。自分の歌声とか聴くと、普通に昏倒してその後三日間くらい昏睡できます。あと、人前で話すときはだいたい頭の中が真っ白になっていますから、後になって不安になります。何かとんでもないことを叫んでいたりしなかったかしら、と。だいたいこういうときって身体に刻み込まれた言葉がでてくるでしょうから、ぼくの場合は大学時代にやっていた人形劇の台詞ですね。「お兄ちゃん、お遊戯しよう! お遊戯しよう!」とか「じゃあぼく、これ食べちゃうよ!」とか「うん、ぼく根性ある!」とか、何かそんな言葉が無意識のうちに口から出てしまっているのではないか。そんなことを考えながら、録音機の前でぶるぶる生まれたての小鹿のように震えていたのですが、なあにソクラテスだって毒の杯を飲んだではないか。で、聴いたのが三日前でいままで昏睡していたのですが、意外にまともに喋って受け答えしていました。当たり前か。

そんな感じでそもそも人と話すのが苦手なのですが、その上さらに、どうもぼくは耳が悪いようなのです。いや自分ではそうは思っていなくて、むしろ他の人よりも身の危険を知らせる音には敏感だと思っているのですが、でも実際、人の話している言葉が良く聴き取れないのは事実のようです。特に相棒の話が最近聴き取りにくくて、といってもこれは前からその傾向はあって、彼女の声質のせいもあるとぼくは思っているのですが、ともかく聴き取れないことが多い。先日一緒に食事をしていたときに、彼女が子供のころにどんなおやつを食べていたか、と訊いてきました。子供のころなんていったらあなた、もう三十年弱前ですよ。この前怖い話のまとめサイトを見ていたら、「築三十年の廃屋」とかが出てきて古くて怖〜いとか書いているやつがいた。三十年なんてわけーよ俺の方がこえーのかよ! とか切れやすい十七歳のニバイニバ~イとか思っていたのですが、そのくらい昔のことです。でも話しているうちにいろいろ思い出してきてけっこう懐かしかった。ちょっと話がずれますが、サラリーマンになって何がいちばん嬉しかったかっていったら、これはもうカルピスを原液で飲める! という一事に尽きました。何という贅沢。何というこの背徳感! 気分はもうかぶと虫です。まあそれはともかく相棒にも訊いてみました。きみは子供のころどんなおやつを食べていたの? そうすると彼女は「釣り餌」と答えたのです。いや……いくら何でも、釣り餌はないだろうと思うのですが……しかしもしかしたら、と思わせる何かが彼女にはあります。いやないけど。で、もう一度訊き直したのですが、やっぱり「釣り餌」に聴こえる。「釣り餌!?」と訊きかえすと違うよと言うのだけれど、とりあえず釣り餌でいいやと自己完結して、その話題は終了しました。

そんな感じで、査読つき論文が通りました。まだまだ先は長いけれど、とりあえず博士号に向けて第一関門は突破です。神学士、環境学修士ときて最後は農学博士。脈絡はなさそうですが、目指すは二十一世紀の宮沢賢治。どっどど どどうど どどうど どどう 青いくるみもぶっ殺せ! すっぱいかりんもぶっ殺せ! 「莫迦め、クラムボンは死んだわ」

このブログの文体、どんなんでしたっけ……。