to tell the truth

ずいぶんブログを更新していなかったような気がしたけれど、そうでもなかった。更新はしていなかったけれど、ここしばらく、言葉そのものはかなり書いていたように思う。もっとも、ぼくのような生活をしていて、言葉を書かなくなってしまったら、それはもうだいぶお終いだ。さいわい、いまのところ、書きたいものが尽きることはない。学会発表用のレジュメを書いて(ほとんど論文草稿になってしまった)、共著本の論文を加筆修正して、学会のジャーナルに掲載する論文を加筆修正して、同人誌用に短い文章を書いた。ただ、読んでもらいたいひとは、だいぶ減ってしまった。

何か楽しいことを書きなよと言われたので、何か楽しいことを書こうと思う。何かあったかな……。

最近、『現代思想』でポスト・ビッグデータと云々という特集をしていた号を読んだのだけれど、校正が滅茶苦茶だった。ざっと流し読みをしただけでも四箇所に誤字脱字があった(それ以上は読むのをやめたので、全体でどのくらいになるのかは分からない)。まあ、内容のほうがよほど滅茶苦茶だったので誤字くらいはどうでも良いのかもしれないけれど、それにしても早々と出てきた「ビッッグデータ」には笑った。キーワードにすら誤字。よほど大きいのだらう大きいのだらうとしばらく笑って、それから、暗然とした。

こんな感じだけれど、実際には、いつもへらへら、明るく楽しく生活をしている。莫迦みたいだけれど、まあ、じっさい莫迦みたいなのでしかたがない。ああそうだ、最近、上に書いたのとは別の共著本が出た。いやあれを共著本と呼んでよいのかどうか分からないのだけれど、執筆者のひとりが研究業績に共著本として記載していたので、まあ良いのではないだろうか。ともかく、学会でひさしぶりに会った青年に、ぼくの書いた部分がとても面白かった、凄く良かったと言われたので、それは嬉しかった。あとがきではぼくの執筆箇所が糞みたいな誤読をされていて、そのダメージも大きかったけれど、それはそれで仕方がない。端から、アカデミックな世界で何かが伝わるとは思っていない。ただ、論文だけを読んで書いてきて、それで自分は言葉を使えると思っている連中のもつ本質的な残酷さには、毎回、かなりぞっとする。

楽しい話……。いやもちろん、たくさんある。急に書こうと思っても出てこないだけで、楽しいこと、心底面白くて笑ってしまうようなことは、たくさんある。

あれは一昨日だったか、隣に彼女が居て、ぼくは思わず居眠りをしてしまった。しばらくして少し目が覚めかけたとき、(陳腐な言い方だけれど)頭を殴られて失神するような感じで真暗な眠りに叩きこまれた。ある種の覚醒夢なのだが、その夢のなかでドアのベルが鳴り、魚眼レンズからそっと外を覗くと、ピンクの日傘をさした中年の女性がふたり、ぼくがドアの内側にいることを知っているのか、二、三のある言葉を言い残して立ち去って行った。ぼくは完全な合理主義者だけれど、ある種の予兆は否定しない。

書きたいことはたくさんあるけれど、書けないことも同じくらいにたくさんある。書けないことはつまり書けないことで、どうしようもない。けれどもそれが、無限の迂回路としての書ける言葉を生み出していく。

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